東京大学大学院理学系研究科附属植物園
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【当園の研究紹介】コバンノキ(コミカンソウ科)がタマバエに受粉されていることを解明
研究・教育活動
2023.07.20

コミカンソウ科のコバンノキPhyllanthus flexuosus (Sieb. et Zucc.) Müll.Arg.は西日本に分布する落葉低木で、4〜5月に独特な赤紫色をした花をつけます。本研究では、コバンノキが、雄花の虫えいを幼虫の生育場所として利用する2種のタマバエ(コバンノキオバナツボミタマバエClinodiplosis gagneiとコバンノキヤドカリタマバエMacrolabis katoi)に送粉されていることを明らかにしました。小石川植物園の温室でハナホソガとの共生を再現しているオオシマコバンノキに近縁ですが、コバンノキはハナホソガとは関係をもたず、代わりにタマバエと特異的な関係を結んでいます。タマバエはコバンノキの雄花のつぼみや、タマバエによってつぼみに作られた虫えいに産卵し、その際に雄花や雌花に体が触れて花粉を媒介します。タマバエの幼虫は雄花の虫えいの中で成熟し、土中で蛹化、越冬します。コバンノキが属するコミカンソウ属Phyllanthusには、コバンノキの他にも同じような赤紫色の花をつけるものが複数の系統にまたがって存在し、本研究では沖縄本島に固有のハナコミカンボクPhyllanthus liukiuensis Matsum. ex Hayataと、ニューカレドニアに分布するPhyllanthus baladensis Baill.の2種も同様にタマバエに花粉が運ばれることを明らかにしました。論文掲載ページはこちらをご覧ください。

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