東京大学植物標本室（TI標本室）は、日本および東アジアにおける最も古く、かつ重要な植物標本コレクションの一つです。約180万点の標本を所蔵するTI標本室には、日本のみならず、台湾、中国、韓国、その他の東アジア地域からの植物標本が収蔵されています。また、新種記載の基準となるタイプ標本が多数所蔵されていることでも知られています。TI標本室には約2万点のタイプ標本が収蔵されていると推定されていますが、それらすべてを網羅するデータベースはまだ完成していません。

過去3年間にわたり、小石川植物園にある標本室にてタイプ標本の探索・撮影・データ化を進めてきました。シダ植物に関しては、1,000点以上のタイプ標本を収集し、現在、3巻構成のカタログとして出版するための改訂作業を進めています。第1巻『東京大学植物標本室所属タイプ標本目録・第15部 シダ植物I』はすでに刊行されており、そのデータは東京大学植物標本室のウェブサイトにてオンラインで閲覧可能です。この巻には、163の学名と、標本の写真プレート364点が掲載されており、以下の科に属する標本が含まれています：ヒカゲノカズラ科、イワヒバ科、トクサ科、ハナヤスリ科、リュウビンタイ科、ゼンマイ科、コケシノブ科、カニクサ科、フサシダ科、キジノオシダ科、タカワラビ科、ヘゴ科、ホングウシダ科、イノモトソウ科、コバノイシカグマ科。

本カタログは、日本国内外の植物分類学者にとって非常に有用な資料であり、TI標本室コレクションの保存においても重要な役割を果たすでしょう。カタログの印刷版は、東京大学本郷キャンパスの赤門近くにあるUTコミュニケーションセンター、および東京駅近くのKITTEビル内にあるJPタワー学術文化総合ミュージアムインターメディアテクのIMTブティックにて購入可能です。

　　東京大学植物標本室キューレーター　　　　　　　
Diego Tavares Vasques（小石川植物園 特任助教 ）

コケシノブ科
Hymenophyllum constrictum Hayata
のレクトタイプ標本

東京大学植物標本室所属タイプ標本目録
第15部 シダ植物I